派遣から直接雇用になると有給は引き継げる?残った日数の扱い

派遣から直接雇用になると有給は引き継げる?残った日数の扱い 有給休暇・休暇中の給料

派遣先から「直接雇用に切り替えたい」と言われたとき、気になるのが派遣社員として働いている間に残った有給休暇です。

同じ職場でそのまま働き続けるのであれば、「今までの有給もそのまま引き継げるのでは?」と思うかもしれません。

結論からいうと、派遣会社を退職して派遣先と新たに雇用契約を結ぶ場合、派遣会社で残っている有給休暇は原則として自動では引き継がれません。

派遣社員の雇用主は派遣先ではなく派遣元の派遣会社です。派遣中の有給休暇も派遣元から付与されています。厚生労働省も、派遣労働者の年次有給休暇は派遣元事業主が付与するとしています。

そのため、派遣先に直接雇用されると、勤務場所や仕事内容が同じでも雇用主が変わります。

ただし、直接雇用する会社が独自に「派遣期間を勤続期間に含める」「残っている有給を引き継ぐ」と定めている場合は別です。

この記事では、派遣から直接雇用になるときの有給休暇について、残った日数の扱いや退職前の消化、直接雇用後に新しい有給が付く時期まで解説します。

派遣から直接雇用になると有給は原則引き継がれない

派遣先でそのまま働き続ける場合でも、次のように雇用関係は変わります。

働き方雇用主有給を付与する会社
派遣社員派遣会社派遣会社
直接雇用派遣先だった会社直接雇用する会社

派遣社員として働いている間は、実際に仕事をしている派遣先ではなく、派遣会社と労働契約を結んでいます。

したがって、有給休暇も派遣会社との雇用関係に基づいて発生しています。

たとえば、派遣会社Aに所属してB社で3年間働き、有給が15日残っている状態でB社に直接雇用されたとします。

この場合、

  • A社との雇用契約は終了
  • B社と新しく雇用契約を締結

という扱いになるため、A社で残っていた15日が当然にB社へ移るわけではありません。

「職場が変わっていない」「仕事内容も同じ」という点ではなく、雇用主が同じかどうかが重要です。

派遣会社に残っている有給はどうなる?

派遣会社を退職して派遣先へ直接雇用される場合、派遣会社で残っている有給については、主に次の3つの扱いが考えられます。

1.退職前に有給を消化する

最も分かりやすい方法です。

派遣会社を退職する前に残っている有給を申請し、消化してから直接雇用へ切り替えます。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」でも、退職すると退職日をもって年次有給休暇の権利が消滅すると説明されています。

また、退職前に残っている年休を使い切りたいと申し出た場合、会社は退職日を越えて取得日を変更することができません。

派遣社員の場合、有給の申請先は派遣先ではなく派遣元の派遣会社です。

そのため、直接雇用が決まったら、

「現在の有給残日数は何日あるか」
「最終出勤日はいつにするか」
「退職日までに何日消化できるか」

を派遣会社へ早めに確認しておくとよいでしょう。

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2.使わなかった有給は退職日に消滅する

有給が20日残っていたとしても、派遣会社を退職したあとに、その20日を派遣会社へ請求することはできません。

年次有給休暇は通常、付与されてから2年間有効です。

しかし、2年間残っている権利があるからといって、退職後も使えるわけではありません。

「付与から2年」と「退職」は別の話です。

たとえば、半年前に付与されたばかりの有給が10日残っていたとしても、派遣会社を退職すれば、その会社に対する有給休暇の権利は退職日で消滅します。

直接雇用の日程が決まった時点で、有給残日数を確認しておくことが重要です。

3.残った有給を買い取ってもらえる場合もある

「使えないなら、その分を給料として払ってほしい」と考える人もいるでしょう。

しかし、会社に有給休暇の買い取りを要求できる制度があるわけではありません。

在職中の有給をあらかじめ買い取ることは、年休を取得する機会を奪うことになるため原則として認められていません。

一方で、退職によって消滅する有給について、会社が任意で金銭を支給することまでは禁止されていません。

ただし、派遣会社に買い取りを義務付ける法律上の規定はありません。

つまり、

買い取り制度があるかどうかは派遣会社次第

と考えておいたほうがよいでしょう。

退職前に残った有給を全部使ってもいい?

原則として可能です。

たとえば、

  • 有給残日数:10日
  • 派遣先での最終出勤日:9月15日
  • 派遣会社の退職日:9月30日

として、9月16日以降の勤務日に有給を充て、9月30日付で退職するといった形です。

退職予定者であっても、退職日までは有給休暇を取得する権利があります。

通常、会社には「事業の正常な運営を妨げる場合」に取得時期を変更する時季変更権があります。

しかし、退職日より後の日へ変更することはできません。

労働局も、退職間際に残った年休を取得したいという申請について、退職日を越えて変更することができないため、原則として取得させる必要があるとしています。

ただし、派遣先にだけ「明日から有給を取ります」と伝えて休めばよいわけではありません。

有給休暇を付与しているのは派遣元なので、派遣会社のルールに従って派遣元へ申請してください。

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直接雇用された後の有給はいつからもらえる?

派遣期間が自動的に引き継がれない場合、直接雇用する会社での勤続期間は基本的に新しい入社日から考えることになります。

労働基準法では、

  • 雇い入れから6か月継続勤務
  • 全労働日の8割以上出勤

という条件を満たした労働者に、原則10日の年次有給休暇を付与すると定めています。

たとえば、

2026年10月1日:派遣先へ直接雇用
2027年4月1日:入社から6か月

という場合、会社に特別な制度がなければ、2027年4月ごろが法律上の最初の有給付与時期になります。

ここで注意したいのは、派遣として何年働いていたかだけで決まるわけではないことです。

同じ会社の同じ席で仕事をしていても、

「派遣会社から派遣されていた期間」

と、

「派遣先に直接雇用された期間」

では雇用主が異なります。

派遣期間を直接雇用後の勤続年数に含めてくれる会社もある

ここが重要な例外です。

直接雇用する会社が、派遣期間を勤続期間として扱う制度を設けることは可能です。

特に紹介予定派遣では、厚生労働省の資料でも、直接雇用する場合に「年次有給休暇や退職金について派遣期間を勤務期間に含める場合には、その旨を定める」という扱いが示されています。

そのため、

「派遣から直接雇用になったら絶対に半年間は有給がない」

とは限りません。

会社によっては、

  • 派遣期間を勤続期間として算入する
  • 入社日に有給を付与する
  • 派遣時の有給残日数と同程度の特別休暇を与える
  • 法定の付与日より前倒しして有給を付与する

といった制度を設けている可能性があります。

実際、年次有給休暇を入社日に前倒しして付与する制度自体も認められています。

直接雇用の条件を提示されたら、給与や雇用形態だけではなく、有給の扱いについても確認しておきましょう。

紹介予定派遣なら有給は引き継げる?

紹介予定派遣でも、派遣期間中の有給が必ずそのまま直接雇用先へ移るわけではありません。

紹介予定派遣の期間中は派遣会社との雇用関係です。

その後、派遣先と直接雇用契約を結べば雇用主が変わります。

ただし、一般的な派遣から直接雇用になるケースと比べて、紹介予定派遣では最初から直接雇用を想定しているため、派遣期間を勤続期間へ算入する取り決めが設けられていることがあります。

「残っている有給○日がそのまま移るのか」と「派遣期間を勤続年数として数えるのか」は別の話なので、分けて確認してください。

雇用条件通知書や就業規則を確認し、不明な場合は直接雇用先の人事担当者へ聞いておくとよいでしょう。

派遣先が変わるだけなら有給は基本的に引き継がれる

直接雇用と混同しやすいのが、派遣先だけが変わるケースです。

たとえば、

派遣会社A → B社へ派遣
↓
派遣会社A → C社へ派遣

のように、派遣会社Aとの雇用関係が継続しているのであれば、勤務先が変わっても有給はリセットされません。

厚生労働省も、派遣先事業所が変更された場合であっても、同じ派遣元での継続勤務年数を通算して有給休暇の日数を決めるとしています。

整理すると次のようになります。

ケース有給の扱い
同じ派遣会社のまま派遣先だけ変わる原則そのまま継続
派遣会社を辞めて派遣先へ直接雇用原則引き継がれない
派遣期間を勤続期間へ算入する制度がある会社の規定により算入される場合あり
直接雇用先が入社時に有給を前倒し付与会社の制度により取得可能
派遣元を退職して有給を残したままにする退職日に消滅

直接雇用が決まったら有給について確認すること

派遣先への直接雇用が決まったら、次の点を確認しておくと安心です。

  1. 派遣会社の有給は現在何日残っているか
  2. 派遣会社の退職日はいつになるか
  3. 退職前に残った有給を消化できるか
  4. 直接雇用後の最初の有給付与日はいつか
  5. 派遣期間を勤続期間として扱う制度があるか
  6. 有給の前倒し付与制度があるか

特に確認したいのが、直接雇用後の「入社日」と「有給付与日」です。

派遣会社の有給を使い切ってから直接雇用へ切り替えられれば問題は少ないですが、派遣元の有給が消滅したうえ、直接雇用先でも半年間有給がないとなると、しばらく自由に休めない可能性があります。

直接雇用の条件を提示された段階で確認しておきましょう。

まとめ|派遣から直接雇用になるなら残った有給を確認しておこう

派遣から派遣先の直接雇用へ切り替わる場合、派遣会社で残っている有給休暇は原則として自動では引き継がれません。

勤務場所や仕事内容が変わらなくても、派遣会社から派遣先へ雇用主が変わるためです。

残った有給を無駄にしたくない場合は、派遣会社を退職する前に残日数を確認し、可能であれば退職日までに消化しておきましょう。

一方で、直接雇用先によっては、派遣期間を勤続期間に含めたり、入社時から有給を前倒しして付与したりする場合があります。

そのため、直接雇用が決まったら、

「派遣期間は有給の勤続期間に含まれますか?」
「直接雇用後の有給はいつ、何日付与されますか?」

の2点を確認しておくのがおすすめです。